夫はこう言い放って仕事に行った。
「生活保護と母子手当てもらって、出て行って暮らしていけば?」
母子手当てをもらってという事は、子供を連れてでていくと言うことだ。
夫が出て行った後、泣きながら母に電話した。
母に電話して事情を話すということは、私の中でもう離婚する意思が固まっていたからだ。
そして母には仕事をみつけて、お金がたまったらもう家をでて、この土地で子供と2人で暮らしていくと言った。
すると母は、
「ここきえと孫ぐらい、お母さんが養ってあげられる。
ここきえはどっちにしろ働かないといけないと思っているから、実家に頼らないって思ってるのかもしれへんけど、頼るのも勇気やで。
子供だって小さいのに来年のお母さんが定年になるまで、子育て専念したっていいねんで。
貴方がそんな思いしてまで、その土地に住みたいと思っている理由は何?」
と聞いてきた。
同じ家族でもこうも言うことが違うのかと思った。
一人は生活保護と母子手当てで暮らしていくことを勧め、一人は、二人くらい養ってくれると言う。
ここには大きな大きな愛情の差を感じた。
私の両親は、私が夫とやり直したいと言っても応援してくれると思う。
実家に帰りたいと言っても迎えてくれると思う。
子供と二人で暮らしたいといっても応援してくれる。
そんな両親だ。
無償の愛を持っている両親。
そして私はこの土地に拘っている理由を考えた。
それは友達だった。
ずっと、家庭が楽しくなかった私は、友達に誘ってもらって子供と一緒に公園で遊んだり、家に行ったりしていた事がすごく心の支えになっていた。
実家に帰れば隣の県とはいえ、そんな友達と頻繁に会えなくなる。
それがさびしかったし、辛かった。
だけど母に、「頼るのも勇気」と言われて、心が固まった。
そして私は明日の朝一番に家を出る為の荷造りをはじめた。
10年以上経過した、現在の私の感想
女が決意したら、もう簡単に意思が変わることはない。
精神的には限界がきていたし、なんとか結婚生活を持ち直して仲の良い夫婦になってみたかった。
でも仲の良い夫婦になんて、一度もなれなかった。
コミュニケーションがとれない加害者相手に、自分の気持ち理解してもらうのは無理だし、加害者の気持ちを私が理解するのも無理だった。
モラル・ハラスメント加害者は自分が悪いのに、本人は「私は悪くない」と思い込んでいる。だから「あなたはモラル・ハラスメント加害者だ」と言って議論しても始まらない。
モラル・ハラスメントの心理 加藤諦三
これから、私は離婚に向けて戦うことになる。
けれど、彼が自分のモラル・ハラスメントに気付くことはない。
元夫の加害行為を理解してもらう相手は、元夫ではなく、裁判所の人になる。



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